2023年度から性別問わず選択式になった宮崎県日南市の公立中学校の制服。左から2種類のスラックス、キュロット、スカート
2023年度から性別問わず選択式になった宮崎県日南市の公立中学校の制服。左から2種類のスラックス、キュロット、スカート

「高校生は様々なことに興味・関心を持つ時期で、服やファッションに対してもそうでしょう。しかし、経済的な自立はできていません。私服では家庭環境によって大きな『差』や『負担』が生まれることも想定されます」

 弁護士、兵庫教育大学大学院准教授で、私立中高一貫校教員でもある神内聡さんもこう話す。

「制服の選択肢を広げる取り組みは必要ですが、私個人は制服の着用義務自体には肯定的です。制服はTPOを守るひとつの手段です。私服を導入してもそれを理由に生徒間の力関係が生じず、TPOも乱れにくい学校ならば私服もアリでしょうが、難しい学校もあると思います」

 実際、地域差はあるが、私服を導入している高校には比較的学力の高い学校が多い。また、生徒自身が制服着用を望んでいる面もある。神内さんは続ける。

「かつてある中学校で調査したときは、ほとんどの生徒が制服を希望しました。『制服なら個性を競わなくていい』という理由が中心です。制服・私服選択制を導入しても、マスク着用と同じように周囲に同調して選択が偏り、少数派の居心地が悪くなるかもしれません」

 1879年に学習院が日本最初とされる学生服を導入してから、140年以上がたった。多様な性自認やジェンダーへの配慮が当然に必要なことはもはや論をまたないが、その先に制服制度がどうあるべきか、改めて議論が必要なときだろう。(編集部・川口穣)

AERA 2023年4月10日号より抜粋

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