※写真はイメージです。本文とは関係ありません(NATALIA MARNA / iStock / Getty Images Plus)
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 頑張るのが面倒くさい。期待されるのが面倒くさい。恋愛が面倒くさい。人に頼るのが面倒くさい。そもそも生きること自体が面倒くさい……。

 死んでしまいたいというほど切羽詰まってはいないが、せっかくの人生を、生きながら降りてしまっているような生き方をしてしまう。そういった特徴を持つ「回避性パーソナリティ障害」とはどんな状態なのか? 自身も生きるのが面倒くさい時期があったという、精神科医で作家の岡田尊司さんの著書『生きるのが面倒くさい人』(朝日新書)から一部を抜粋・改編して解説する。

社会に出るのが面倒くさい

 「面倒くさい」が一つの頂点を迎えるのは、社会に出ること、つまり就職とか働かねばならないという問題に向き合うときだ。

 なぜ、社会に出て働くのは面倒くさいのだろう。

 もちろん、これまで述べてきた要素もそこにはからんでくるだろう。社会に出れば、当然さまざまな人間と接することになる。あまり性格の良くない人や強圧的な人にも出会うだろう。社会に出たときは、一番下っ端なので、周囲にも気をつかわねばならない。当然気疲れもする。人一倍繊細で、対人緊張の強いタイプの人にとっては、それだけでも楽なことではない。

 また、給料をもらう以上、責任や負担も増えるし、成果も問われる。学校の成績ならば、怠けたらテストの点が下がるだけのことで、結果は自分の身に降りかかるだけだ。ところが、仕事となると、顧客がからんでくる。会社や所属する部署がからんでくる。自分の身に降りかかるだけでは済まない。人に迷惑がかかり、自分のために他の人が頭を下げねばならないことも起きる。大きな損害が生じてしまうかもしれない。

 私の弟は、水力発電が専門で、その中でも、検査の仕事をやっている。回路が設計通りにつながっているか、発電機などの装置がちゃんと所定の動きをしているかを、チェックして、異常を見つけ出す。回路に異常があるのに、大きな電圧がかかると、部品が壊れたり、事故につながったりしかねないので、重要な仕事だ。

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