私自身、もし今回の補選区の有権者だったらどうしただろうと考えてしまう。与党への怒りと不信はあるが、かといって、今の野党に期待できるのだろうか。昔の民主党は「選挙区の世襲」を認めなかったが、今回当選した3人の議員のうち2人は世襲である。若くフレッシュな女性議員に期待はしたいが、その背後で画策しているようにみえる“オジサン”たちの顔は、自民党の“オジサン”たちとどのくらい違うのか。「若さ」や「女性」を濫用しているようにも見える選挙のあり方に、ばかにするなよ有権者をという思いになるのは私だけだろうか。

 韓国人女性が語る将来への不安は、政治への不信と直結していた。それでも、なのか、だからこそ、なのか、先の韓国総選挙での投票率は67%だった。韓国と日本、現状への絶望はとても似ているというのに、選挙で未来を変えられる希望があり、入れたい候補者、入れたい政党がある韓国を、私は羨ましいと思う。権利があるのに投票所に行かないなんてあり得ないと私は思っていたほうだが、それでも「投票率の低さ」こそが、今の日本の民意なのだと思うしかない。政治への興味がないのではない、入れたい党、入れたい人がいないのだ。その深刻さに政治家は真剣に向き合ってほしい。私たちは本当の希望を確信したい。

 そしてこれは余談だけれど。今回の選挙、誰よりも大負けしたのは小池百合子氏だったと思う。たった55日で防衛省を追い出され「I shall return」と名言を残した小池氏の次の「I shall return」はあるのか、見たいような見たくないような……である。

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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