「ビンジドリンキング」は、外でワイワイと飲むのが好きな人の方が陥りやすい。写真はイメージ(GettyImages)

反社会的な行動を誘発

 厚労省によると、ビンジドリンキングとは「イッキ飲みなど短時間に大量のお酒を飲むこと」を指し、「一度に純アルコール60g以上の飲酒」としている。どれくらいが「短時間」なのかは示されていないが、純アルコール60グラムの目安は、ビールなら中瓶3本、日本酒は3合、ウイスキーはダブルで3杯となる。

 2023年末の忘年会シーズンにはビンジドリンキングを控えるよう、同省は注意喚起を出した。

 これまでの情報では、河本の飲み方が「ビンジドリンキング」に当てはまるかは判断できない。ただ、若い世代で友人らと勢いよく酒を飲んだり、普段はさほど飲んでいなくても、歓送迎会や忘年会では、とことん飲むという人は少なくないだろう。

 アルコール依存症の専門外来「さくらの木クリニック 秋葉原」院長の倉持穣医師は、ビンジドリンキングについて「簡単に言えば、短い時間で無茶な飲み方をしてしまうことです」と説明する。

 例えば、同じ酒好きでも、自宅で酒を飲む人は、量が多くてもゆっくり飲む。悪く言えば、だらだらと飲むのでビンジドリンキングにはならないかもしれない。逆に、店などで仲間とワイワイ飲むのが好きな人がビンジドリンキングに陥りやすい傾向があるという。

「楽しい飲み会が好きで、飲むとハメを外して調子に乗ってしまう人や、仕事のストレスなどで鬱屈した気持ちを抱えている人。お酒の適量を知らない若い世代や、体が衰えてきているのに、若いころと同じように酒が強いと思い込んでいる中年層などは、リスクが高いと考えられます」(倉持さん)

 倉持さんによると、アルコールの急速な大量摂取によって、感情の制御などをつかさどっている脳の前頭前野がまひする。

「それによって感情の抑制ができなくなり、怒りをむき出しにするなど、普段はしない反社会的な行動を誘発しやすくなってしまうのです。いつもは温厚なのに、飲むと人格が一変してしまう人は、少なからずいますよね」

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