自分で飲み方を変えるのは難しい
当然だが、短時間で大量飲酒すればするほど、その危険がより大きくなる。他人への危害だけではなく、記憶をなくしたり、転んでけがをしたり、駅のホームから転落するなどの大きな事故につながる恐れもある。
倉持さんは、居酒屋の2時間飲み放題システムや、特定の時間帯に酒が安くなる「ハッピーアワー」のサービスなどを引き合いに、「日本は、ビンジドリンキングにつながり安い環境が、整い過ぎてしまっている現実があります」と話す。
こうした店を利用するなら、せめてお酒一杯ごとにチェイサーを飲む。つまみを食べる。仲間との会話を楽しみ、酒を飲むペースを遅らせる、などの工夫が重要になるという。
有名人が酒で不祥事を起こすと、人格攻撃につながる傾向があるが、倉持さんはこう指摘する。
「酒好きなら、誰もがビンジドリンキングをしてしまい、大きな失敗をする可能性があります。有名人の不祥事はまったく人ごとではありません」
また、やっかいなのは、たまに酒で失敗して反省しても、時がたつとまた同じ失敗を繰り返すことだ。倉持さんは言う。
「苦い記憶でも、次第に風化してしまいます。断酒や減酒を含め、自分の力だけで飲み方を変えるのは実はとても難しいことなのです。ビンジドリンキングに心当たりのある人は、医療機関の受診を選択肢として検討してほしいと思います」
自分が失敗するはずはない、と思い込んでいる「酒に強い」あなたも、リスクと隣り合わせなのかもしれない。
(AERA dot.編集部・國府田英之)