春の園遊会での愛子さま=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、松永卓也撮影(朝日新聞出版/JMPA)

 横尾さんは緊張しているというか、耳がよくないことに恐縮しているように見えた。でも最後のほうには、「今日はこんなお写真見せていただけると思ってなかった。大変うれしく思いました。今日は談議ですね」と安心したように語った。そこで終わりにしてもよい流れだったが、お二人は横尾さんが5歳の時に描いた絵、描き続けているY字路の絵と話題を振っていた。横尾さんも感動したに違いないと、こちらまで感動する。

 というわけで、宮内庁はもっとどんどんお二人の「音声」を公開すべきだと思う。「皇室ちょっといい話」(144)は、お二人の2度目の能登半島地震被災地訪問を取り上げていた。石川県穴水町の避難所では、お二人が腰をかがめて避難者に語りかけている様子が映った。そこで「ここはなかなかやりとりが聞き取りづらかったです」と担当記者の解説が入る。地元消防団長や医療関係者をねぎらう場面では、雅子さまが涙をこらえているようだったりぱっと笑みを浮かべたりという感情の移り変わりが見てとれた。が、やりとりはほとんどわからない。音声を拾うにはマイクが必要で、そういう場面にはそぐわないという判断かもしれないが、何か方法がないだろうか。具体に勝る決め手はないことは、園遊会が示しているのだから。

 という広報のあり方への提言で終わってもいいのだが、少し続ける。園遊会では両陛下の優しさを感じると同時に、「天皇家も普通の家なのだ」という当たり前のことも思った。北大路さんとのやりとりから、前日に映画「HACHI」の思い出を語り合うお二人と愛子さまの様子が浮かんだ。横尾さんとのやりとりでは、最初に飼った元野良猫が4匹の子猫を産んだと雅子さまが語っていた。「この子が子どもの1頭で、あとの3頭は愛子のお友達に差し上げて」という雅子さまの声に、愛子さまの楽しい学校生活も浮かぶ。家に帰り、愛子さまは「もらってくれる友人が見つかった」と元気に報告したに違いない。

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