巨大広告が並ぶ都市的な空間と雑多な街並みが混在するデリー(写真:著者提供)
巨大広告が並ぶ都市的な空間と雑多な街並みが混在するデリー(写真:著者提供)
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いよいよ大型連休が始まった。普段は忙しく過ごしている人も、人生についてじっくり考えるチャンスだ。ゴールデンウィークは、過去に配信した記事の中から改めて読みたい人物ストーリーをお届けする。今回は突然インドで暮らすことになったとある女子高生の物語(この記事は2022年5月10日配信した内容の再掲です。年齢、肩書等は当時)。

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タピオカとプリクラと部活と放課後のおしゃべり……日本でキラキラの女子高生ライフを送るはずだった未来は、突然のインド行きでもろくも崩れ去った。父親の転勤でいきなりインドに放り込まれたJKは、これまで何の興味もなかったインドでの暮らしに、ことごとく常識をくつがえされていく。日本のJKによる、おかしくて真面目なインド滞在記『JK、インドで常識ぶっ壊される』より一部を抜粋する。(表記は書籍と異なる部分があります)

*  *  *


■期待と不安を胸の中に秘めて

 寝返りを打とうとして、身体が窮屈に固定されていることに気づく。そうだ、飛行機に乗ってるんだった。

 泣き枯らして重たいまぶたを開けてみると、きわめて人工的な照明がこれまた人工的な白い壁や天井に広がってできあがった、無機質な空間にいた。

 あーあ、せっかくタダなんだからもう一本映画見ようと思ってたのに。

 暗い機内、自分の頭上だけを照らすライト。そんなMVのワンシーンのような雰囲気に酔って、友だちからの手紙読んでたら泣けてきちゃって、そんでそのまま寝ちゃったんだ……。いつの間にかまわりの乗客ももう起きてるし。もったいないことをしたとひとり嘆いていると、着陸体勢に入るというアナウンスが響いた。

「まもなく、インディラ・ガンディー・国際空港に到着いたします」

 濁点が多くゴツゴツとしたその名前が、固い重しのごとく胸に乗っかる。それによってぎゅっと凝縮された、不安と、緊張と、ほんのわずかな期待。さまざまなものが混ざり合った感情は、もうポジティブなのかネガティブなのかわからないほどに渦を巻いていた。

 人生の節目。門出。呼び方は幾通りもあれど、ひとには誰にも環境ががらっと変わる時期がある。子どもや学生なら入学・卒業、年齢を重ねていけば結婚や出産、そして就職、転職、昇進、退職などがそれに当てはまる「イベント」だろう。そういうとき、大抵おめでとう、とまわりに言われる。節目や門出はおめでたいものだ。

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おめでたい気持ちがしない