大河ドラマに出演する俳優でもありポージングもさまになる(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

孔子や朱子学の本を読みあさった

 徐々に仕事もなくなっていったというが、そんな状況でも周囲の人たちは金田さんを支えてくれたという。

「先輩方やスタッフさんは目をかけてくれました。先輩たちが日々、飲みに連れ出して、皆さん、『金田は面白いから大丈夫』と言ってくださって。だから僕も踏ん張れたんです」

 どん底を経験した金田さんだが、ここからはい上がっていく。人間としての厚みが足りないことを実感していたため、これを機にいろいろなことを経験していこうと決めたのだという。

「プライベートでもいろんなところに出かけていったり、あとは本を読みあさりましたね。もともと歴史に興味があったので、孔子の『論語』とか、朱子学についての本を読んだり。あとは、哲学とか岡本太郎さんの本とかも読みました。そうやってインプットしたあとに、それを行動に移して。で、めっちゃ失敗しました。でも、それでよかったんです。チャレンジしていくことが大事だったので。今の自分になるには、ブレークもどん底の時期もどちらも必要でした」

「とにかく急上昇と急降下のG(重力)がとんでもなかった」と表現する20代を過ごし、大きな学びを得た金田さん。それから10年ほどがたった今、自分自身に変化は起きたのだろうか。

「正直わからないですけど、自分としては分厚くなってるとはまだまだ思わないです。けど、20代での経験をどうやって次に生かしていくかを考え続けて、意識し続けていけるかが大事だと思ってます。それ次第でだいぶ30代が変わるなって。だから、意識し続けてきました。どん底の経験を絶対に無駄にしたくなかったんです」

※【後編】<「はんにゃ.」金田哲 大河出演で“イケメン”と話題も「笑いにカッコよさはいらねぇ」と反発した20代>に続く

(AERA dot.編集部・唐澤俊介)

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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