ストレートと変わらない速さで変化するツーシームを上手く使えるようになり、投球の幅が広がったように見える。またスライダー、シンカーの遅い変化球も巧みに操り、コントロールが改善したこともプラス要因だ。貴重なアンダースローであり、ローテーションに変化をつける存在としても今後重宝されることになりそうだ。

 セ・リーグでもう1人復活の兆しを見せているのがアドゥワ誠(広島)だ。松山聖陵からドラフト5位という順位でのプロ入りだったが、2年目の2018年には中継ぎの一角に定着して53試合に登板。翌年は先発に転向して3勝をマークしている。その後は故障もあって3年間一軍での登板がなかったが、昨年は中継ぎで4年ぶりの勝利を記録すると、今年は再び先発に転向。開幕3戦目(DeNA戦)の先発を任されてチームに今シーズン初勝利をもたらすと、ここまで3試合に先発して2勝0敗、防御率2.45という数字を残している。

 ストレートは140キロ台中盤と目立った速さがあるわけではないが、思い切って内角を突けるようになり、変化球が生きるようになった印象を受ける。元々制球力の高さには定評があっただけに、今後も先発の一角としてかかる期待は大きい。

 パ・リーグの投手で復活を強く印象付けているのが国吉佑樹(ロッテ)だ。2021年のシーズン途中にDeNAからロッテにトレード移籍すると、25試合に登板して2勝、17ホールド、防御率1.44と活躍。しかしその後の2年間は一軍で2022年は6試合、2023年は3試合の登板に終わり、ほとんど戦力となっていなかった。

 今シーズンはようやく開幕一軍入りを果たすと、開幕戦こそ2回を投げて1点を失ったものの、その後は5試合連続で無失点を記録するなどリリーフとして貴重な存在となっているのだ。ストレートはコンスタントに150キロを超え、フォークも良い時の状態に戻ってきているだけに、今後は重要な場面を任されることも増えそうだ。また国吉が復活したことで唐川侑己が先発に戻り、4月16日の西武戦では6回を被安打1、無失点と好投を見せたこともチームにとっては大きなプラスである。

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