【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。
『鬼滅の刃』の大ヒット以降、流行語にもなった「全集中の呼吸」という言葉。水の呼吸、炎の呼吸、風の呼吸……鬼を倒すために剣士たちはさまざまな「呼吸」を生み出し、後世へと技をつないでいった。しかし、恋柱・甘露寺蜜璃が使う「恋の呼吸」はその中でも明らかに異質である。岩・風・雷・水・炎…といった「自然界の力」を象徴する他のものとは違う。「恋の呼吸」は「炎」から派生したとされるが、なぜ異質な呼吸が生まれたのか謎も多い。その謎について、恋柱・甘露寺蜜璃の師匠である煉獄杏寿郎との関係から考察する。
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煉獄杏寿郎の元継子・甘露寺蜜璃
ジャンプコミックスの『鬼滅の刃 外伝』(吾峠呼世晴監修、平野稜二、集英社、2020年)が刊行された時、その中の「煉獄杏寿郎外伝」には、まだ鬼殺隊柱になる前の煉獄杏寿郎と甘露寺蜜璃の稽古シーンが描かれていた。蜜璃は当時煉獄のことを「師範」と呼んでおり、彼らが師弟関係であったことがわかる。
このエピソードは『鬼滅の刃』本編では描かれていないものの、公式ファンブック『鬼殺隊見聞録』(集英社、2019年)にも、「蜜璃は初め煉獄さんに弟子入りして継子になったのですが、オリジナリティが溢れすぎて独立してしまいました」という記載があることからも、作者である吾峠呼世晴氏によって決められた設定であろうと推察される。
だが、周知のように煉獄は炎柱であり「炎の呼吸」の使い手だ。一方で、蜜璃が操るのは「恋の呼吸」。師弟関係にありながら、なぜ蜜璃は煉獄とは別の「呼吸」を使うようになったのか、それを考えてみたい。