鬼殺隊が使う「呼吸」とその派生

「ふつうの人間」のパワーを飛躍的に高めるために使用される「呼吸」。「呼吸」は、剣士の特性にあわせて種類が異なり、剣技の型や数にも複数のバリエーションがある。岩の呼吸、水の呼吸、風の呼吸、霞、獣、雷、音、蛇、花、蟲…そして、炎と恋。このようにほとんどの「呼吸」は、自然界の要素(動植物などの生物も含む)と関連があるものばかりだ。

 しかし、甘露寺蜜璃の「恋の呼吸」だけは、人間の感情や心の動きを示すものであり、ここに謎が残る。本編のコミックス7巻で、煉獄が「呼吸」について説明する場面があるが、蜜璃の「恋の呼吸」は、煉獄が扱う「炎の呼吸」から派生したものであると記されている。自然界の根源的な力である「炎」から、なぜ「恋の呼吸」が生まれたのだろうか。

「恋の呼吸」の技名の“不思議”

 その手がかりを探るために、「恋の呼吸」と「炎の呼吸」の技名を比較してみる。

 技の基本形となる「壱ノ型」は、恋の呼吸「初恋のわななき」、炎の呼吸「不知火」となっている。それ以外の型も比較すると、「炎の呼吸」の技の名前は「昇り炎天」「気炎万象」「炎虎」など、いずれも炎(火)にちなんだ型ばかりだ。それに対して「恋の呼吸」は、弍ノ型「懊悩巡る恋」、参ノ型「恋しぐれ」、伍ノ型「揺らめく恋情・乱れ爪」、陸ノ型「猫足恋風」と、いずれも「恋の心」と関連したものだ。(※「猫」にちなんだ名称がみられる。煉獄は「虎」)

 そして、これらはすべて「恋愛の成就」と関連する穏やかな感情というよりも、相手に対する「激しい情熱」を示すという点が特徴だ。この「激しい情熱」というキーワードが、「炎の呼吸」と「恋の呼吸」を関連づける重要な結節点となる。

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蜜璃が鬼殺隊で戦う「動機」