自分に負けることが嫌だった
「師匠は厳しい人で、自分の腕で稼ぐのがプロだから、腕を磨きなさいとよく言っていて、勝つことへの執着はとても強かった。だから、私も誰よりも強くならないと納得できなかったんですよね。当時は人気のほうが先行してたんで、早く実力をつけなきゃと常に思っていました。現役時代に意識していた人ですか? 特にいなかったんですよ。誰に、っていうよりも自分が負けることが嫌だったんで」
2008年、ついに古閑さんは賞金女王を獲得し、日本の頂点に立った。しかし、その3年後、左手首のケガを理由に、29歳という若さで引退した。
「ケガをした翌年の10年には優勝したんですけど、そのときに勝ったは勝ったけど、これは自分のゴルフではないなと思ったんです。なので、優勝した直後にはゴルフをやめる決意をしていました。迷いはありませんでしたね」
その後は、冒頭のように、内にたまったエネルギーの発散方法がわからぬまま、悶々とした日々を2年ほど過ごした。しかし、この2年間、ゴルフから離れていたことが自身に変化を与えてくれたという。
「心血を注いできたゴルフを自分から引き剝がして、自分探しじゃないですけど、ゴルフ以外のことをして生きていこうと思ったわけですよ、引退直後は。今10年以上たって、思い返してみると、あの2年間は本当につまらなかったなって思います。ゴルフをやっていない自分はつまんないなって。ゴルフをしないということを経験したからこそ、頭のなかが結構変わりましたね。今すごくいいバランスで生きられている気がします」
※【後編】<元プロゴルファー「古閑美保」が明かす“離婚”と”再婚願望” 「恋愛のゴールは結婚じゃないんだなって」>に続く
(AERA dot.編集部・唐澤俊介)