ゴルフの実力もさることながら、バラエティー番組でも歯に衣(きぬ)着せぬ物言いでお茶の間の人気者となったプロゴルファーの古閑美保さん(41)。現役を退いた今は、講演会やトークショー、YouTubeなどでゴルフの魅力を発信している。しかし、引退直後はゴルフを拒絶していた時期もあったという。プロゴルファーをやめてからの日々を聞いた。
* * *
「引退してから2年くらいは、普通の生活ができませんでしたね」
聞きなじみのあるハスキーな声で、古閑さんは言う。
「朝も遅い時間まで寝ていられなかったですし、家でのんびりするとか、ゴロゴロするとかもできなかったんです」
幼いころから競技スポーツの世界で生きてきた古閑さんは、プロゴルフという“戦場”から退いたあと、「日々の過ごし方がわからなかった」のだという。
「古閑家は『プロ志向』が強くて、10歳でゴルフを始めたころから、トッププロを目指して、日々なにかとずっと勝負してきたんです。気を張っていることが日常で、自分がプレッシャーを受け続けてきたということに、引退してからやっと気づくほどでした。現役時代は1日20時間ぐらいゴルフをやっている感覚で、練習だけじゃなくて、やっぱり体づくりも大事ですし、食事とかの時間も全部ゴルフに費やしていたので、『24時間じゃ足りない!』って思っていました。けど、引退した瞬間、私から何もなくなって、そうすると逆に24時間が長すぎて長すぎて……」