日本産科婦人科学会によれば、卵子凍結を行う女性の8割以上が35歳以上で、凍結卵子の使用率は5.2~7%という(撮影/加藤夏子)

 昨年度から始まった東京都の卵子凍結の費用助成に約3200人が申請している。都は今年度、助成規模を大幅に拡大する。高まる需要の実態を追った。AERA 2024年4月22日号より。

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「この数字は、大きな反響だと思っています」

 こう話すのは、東京都が昨年度から始めた、卵子凍結の費用助成の事業担当者だ。

 この事業は都内在住の18~39歳の女性が対象で、将来の妊娠・出産に備え、加齢などによる妊娠機能の低下を懸念する場合に行う卵子凍結の費用を助成するものだ。事業への参加意思を示している申込者数は約3200人。すでに医療行為を終え、助成金を申請中の女性が1511人(4月3日時点)で、年代は35~39歳が65%を占める。

 都は条件を満たす申請者全員に対し、最大30万円の助成金を支給する方針で、反響を受け、今年度は大幅に予算を増額して事業を継続する予定だ。

「将来的に子どもを望んでいても、さまざまな事情によって、すぐには妊娠・出産が難しい人が、かなりの数に上るということが明らかになりました。昨年度の状況を踏まえ、今年度の同事業の助成規模は10倍に拡大しています」(担当者)

バリキャリで相手不在

 手術によって体内から取り出した卵子を、将来の妊娠・出産に備えて液体窒素で凍結保存する卵子凍結。卵子は加齢とともに質が低下し、数も減少するとされ、年齢が上がるにつれ、妊娠・出産時の合併症や早産などのリスクが高まり、妊娠率や出産率も低下傾向にある。一方、出産適齢期とされる20代~30代前半は、社会的に活躍の幅が広がり、働き盛りとも言える年代だ。晩婚化や婚姻率の低下などの影響もあり“将来への備え”として卵子を凍結保存しようとする動きが広がっている。

「これだけ働く女性が増えているんだから、卵子凍結を考える人が増えるのは当然だと思う。やっと助成金もできて、少しでも負担が減るのは良いこと」

 こう話すのは、外資系金融機関で働く都内在住の女性(41)。女性の周りでも、ここ数年で卵子凍結をする人が相次いだ。共通するのは、「バリキャリでパートナーがいないこと」だという。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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