●中国・ヨーロッパでは「菊のお茶・ハーブティー」が定番

 一方、中国では昔から延命長寿の薬として、菊花を煎じた「菊茶」を飲む習慣があります。消炎・解熱作用があるといわれる菊茶は、風邪を引いた時に飲む薬茶として、また、眼精疲労などにも効果的な健康茶として、大人から子どもまで広く飲まれているそうです。

 ヨーロッパでも同じキク科のカモミールが、消化不良や胃もたれを和らげ、精神の安定や安眠を助けるハーブティーとして愛飲されています。炎症を和らげる効果が高いことから、ケガや捻挫をした時に、患部をカモミールティーに浸しておくという「おばあちゃんの知恵」的な民間療法もあるとか。

煎じて飲むだけでなく、いろいろな活用法があるんですね。

●科学的にも解明されてきた菊花の効用

 こうした菊花の効用は、単なる気休めや古い言い伝えと思われてしまいがちですが、最近の研究では、菊花に含まれる成分の効用や働きが、少しずつ明らかになってきています。

【解毒作用】
菊に含まれる「テチラクマロイルスペルミン」という化合物が、生体内の解毒物質「グルタチオン」の産生を高め、細胞内の抗酸化作用、毒物・薬物の排出作用を促すことが発見されています。

【発ガン・悪玉コレステロールの抑制】
食用菊に含まれる「クロロゲン酸」と「イソクロロゲン酸」に、発ガン予防や悪玉コレステロールを抑える働きがあると発表されています。

【アンチエイジング】
食用菊には抗酸化作用の高い栄養成分(βカロテン・ビタミンC・葉酸などのビタミンE群・ミネラル類)が多く含まれているため、アンチエイジングの観点からも注目されています。
この季節、彩り美しい風雅な秋の味覚として、家庭料理にも取り入れたい食用菊。

 菊花は大量に食べるものではありませんが、たとえ彩りであっても、体によい成分が含まれているのは嬉しいですよね。
もちろん、刺身のツマに小菊が添えられていたら、残さずにありがたくいただきましょう。花びらを刺身やしょう油、お吸い物などに散らして一緒に味わえば、ほのかな菊の香りと華やかさが加わって、見た目も美味しさもワンランクアップしますよ。

刺身のツマの小菊も残さずにいただきしょう!
刺身のツマの小菊も残さずにいただきしょう!