自己責任とはいえ、いつ逮捕されてもおかしくない危険と隣り合わせという状況である。一体、何が彼女たちをそこまで駆り立てるのだろうか。
「成功したかった」と話すのは、マリエさんだ。何をいくらでどう売るか、何をして何をしないか──。その全てを自分で決める代わりに、全て自己責任。それが「誰かの決めた枠組みの中で仕事をするより、自分に合っていた」と話す。
「私が大きな影響を受けた海外のある同業者の女性は、3日で700万円稼ぐ人でした。仕事に対する意識も稼ぎ方も、日本のそれと大きく違って憧れた。私も彼女のように仕事も収入も成功したいと思ったのです」(同)
前号の記事のアイコさんも、「稼ぎたかった」と収入への欲求を口にする。やりたいことが見つからず、稼いでは遊んでの繰り返しだった日本での日々。だがアメリカで過ごすうちに、「大学に行きたい」という目標が明確になり、そのために働くようになった。
「加えて、“自分も一歩踏み込んで経験してみたい”という好奇心が、性風俗の世界へと背中を押しました。目標を持ってやる分には、嫌な仕事ではなかったし、やりがいもあった。でもどこかで卒業して、次のステージに行かないといけないと思っていました」(アイコさん)
性風俗の仕事をする中で、「人間のいろんな面を、面白いぐらい目の当たりにした」というアイコさん。次第に心理学やカウンセリング分野への興味が芽生え、アイコさんはその後、性風俗の仕事から足を洗い、アメリカの短大に入学。現在は自分でビジネスを起こし、アメリカで働いている。
「振り返ると、あの時の選択があるから今がある。後悔は一切ありません」(同)
取材を通じて話を聞いた女性たちが口をそろえるのが、「性風俗の仕事は期間限定」「いつかは次のステージに行くつもり」という言葉だ。今どれだけ稼いでいたとしても、ずっと続けるつもりはない。
「期間限定と決めているからこそできる働き方でもあると思います」(サキエさん)