「どこまで何をやるか、やらないか、内容に応じて金額をどうするか、客を選ぶことも含めて自分の裁量で決められる働き方は、日本の水商売や風俗の世界にはなかった。日本の風俗サービスはきめ細かくて最上級とも言われるのに、金額があまりに安くて驚かれます。にもかかわらず、日本人の男性客はわずかな金額しか払おうとしないけど、欧米の富裕層は金払いも良いし、何よりきちんと女性として扱ってくれる。それでいて、現に今、得ている金額は、日本で働いていた時の3~5倍です」(サキエさん)

 一方、ここ数年で大きな変化を感じるというのが、渡航先に入国する際の手続き。日本人女性の一人旅というと、以前より明らかに、疑いの目を持っていろんなことを質問されるようになったという。下着を入れたポーチに至るまで、すべての荷物を開けられ、入国の理由を詰問されたこともあった。

「なぜ一人なのか、どこで何をする予定なのか、滞在先はどこか、今すぐに知り合いと連絡が取れるかなど、事細かに聞かれたこともありました。現地に住む友人宅を訪ねる予定だと説明しても、どこか疑いの目を向けられる。私が渡航し始めた6~7年前は、“日本人のパスポートは最強”と言われ、入国の理由を疑われることなんてまずなかったけれど、ここ数年で対応が変わってきているように感じます」(同)

■期間限定だからできる働き方

 こうした入国時の厳しいチェックについては、「ここ2~3年で、相当細かく質問されるようになってきた」と、欧米とアジアの3カ国を中心に性風俗の仕事をするマリエさんもうなずく。

 所持品のみならず、最近はSNSやスマホの写真などの確認をされることもあるため、入国時にはスマホから仕事関連の写真を消したり、仕事用のアカウントを削除したりするなどして徹底する。同業者同士で「こういうことに気をつけろ」という情報交換もしながら、なんとか網をかいくぐっているという。

「海外で仕事をしていると、日本はもう裕福な国とは言えないことを実感しますが、ここ数年で日本は不法就労をする可能性がある国として認識されてきているのではないでしょうか。私のように仕事用のSNSアカウントで発信する日本人も出てきているので、動きが可視化されている面もある。これ以上取り締まりが厳しくならないことを祈りますが、どうなるか……」(マリエさん)

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