「日本より海外のほうが稼げる」と、海を越えて出稼ぎに行く性風俗業の日本人女性たち。不法就労の動きを背景に、ここ数年で単身日本人女性の入国チェックが厳しくなっているという声もある。女性たちが危険な綱渡りの先に求めるものを追った。
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アメリカで高級コールガールとして働くサキエさん(仮名・38歳)。特定の店に所属せず、自身のホームページやSNSなどで発信し、客と直接やり取りしながら仕事を得るのは、前号の記事のマリエさんと同様だ。男性客からオファーを受け、個別にサービスを行う。“接客”は、客に指定されたホテルで行うこともあれば、自宅に呼ばれることもある。性交を伴うサービスを提供しているが、具体的な内容や金額は、客の要望などを聞いた上で個別に自分で判断しているという。
「個人でこの仕事をするのは、稼げるけどリスクの高い働き方。問い合わせの時点で、ちょっと変な人かなと思ったら、会いません。しっかり支払ってリピートしてくれる“上客”が何人かいるので、今はあまり客を広げず、固定の数人を軸に、客の知人などで客の輪を広げています」(サキエさん)
観光ビザで入国し、数週間から1カ月単位で、客のいる都市に滞在する。稼ぐ金額は、平均1カ月で約2万ドル(日本円で約260万円)。コロナ禍での渡航は控えていたが、昨年は2度、アメリカに飛んだ。水際対策が緩和されてからは、客が日本に来ることもある。
海外に行くようになったきっかけは、日本でキャバクラに勤めていた時の友人からの誘いだった。「日本で同じ仕事をするより、格段に稼げる」「旅行がてら遊びに来て、ちょっと働いて日本に帰ったら、しばらく遊んで暮らせる」──。
30歳を過ぎ、水商売をしながら「この先どうしようか」と考えていた矢先、甘く響いた言葉だった。
最初は友人の紹介で、都内に出張で訪れる海外ビジネスマンの接客からスタート。「生粋の日本人女性のエスコートガールは珍しい」と徐々に客がつくようになり、「旅費を出すから遊びにおいで」「自分の知人も紹介するから」という客からの言葉に応じて、現地に飛ぶようになった。