衆院補選が4月15日に告示された。注目の東京15区では、直前まで自民党をはじめ各党にさまざまな動きが見られた。経歴詐称疑惑が取り沙汰される小池百合子都知事や、自民党の裏金問題で処分を受けた萩生田光一都連会長ら、選挙に何かしら影響を及ぼすとみられるキーマンの動静が気になるところだ。政治ジャーナリストの安積明子氏に聞いた。
【写真】小池都知事の経歴詐称疑惑が選挙戦に与える影響と気になる萩生田氏の求心力 衆院補選15区
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自民党は4月12日、衆院東京15区補欠選挙で乙武洋匡氏を推薦しないことを公表した。理由として、乙武氏から推薦要請がなかったこと、そして地元である江東総支部から党として推薦を出さないでほしいとの要望が上がってきたことなどが挙げられた。乙武氏は4月8日に開いた出馬会見で、自ら副代表を務めるファーストの会を除く政党に推薦を求めないことを表明していた。
衆院東京15区は自民党にとって鬼門といえる。2019年12月には秋元司元衆院議員がIR事業をめぐる汚職事件、2023年12月には柿沢未途前法務副大臣が江東区長選での公職選挙法違反事件でそれぞれ逮捕された。さらに派閥のパーティー券キックバック問題で2728万円の「裏金」が判明し、「党役職停止1年」の処分を受けた萩生田光一前政調会長がいまだ自民党東京都連会長の地位にあり、「政治とカネ」問題についての都民の不信はくすぶったままだ。
乙武氏めぐる各党の動きは
さらに問題は、自民党の不振は東京15区だけにとどまらず、同じく4月28日に投開票が行われる衆院補選では、長崎3区は候補者擁立を断念することが余儀なくされ、故・細田博之前衆院議長の弔い合戦であるはずの島根1区ですら、自民党の苦戦が伝えられている。
しかも東京15区での問題は、単なる「不戦敗」ではなく、推薦候補すら立てられないという点にある。原因となったのは公明党と国民民主党で、公明党は乙武氏の過去のスキャンダルに難色を示したため、乙武氏側にとって「自公の推薦を得る」といううまみが減った。また国民民主党は「自民党の応援を得ている候補には乗れない」と主張していたため、乙武氏側からは自民党に推薦を申請しづらかったという事情があった。