「レイザーラモン」のHGさん(撮影/中西正男)

 2005年に「フォー!」というフレーズが新語・流行語大賞でトップテンに入り、一気に時代の寵児となったお笑いコンビ「レイザーラモン」のHGさん(48)。さまざまな性自認への理解が進んできた時代の中で、最初は「ハードゲイ(HG)」という意味からスタートした芸名を取り巻く空気も変わってきました。環境が変化していく中での葛藤。そして「膝から崩れ落ちる喪失感」から引き揚げてくれた先輩の言葉とは。

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 今から20年ほど前“ハードゲイ”というコンセプトで“HG”を名乗りました。

 実際にはハードゲイではないんですけど、キャラクターとしてHGをやる。その中で失礼のないように。そして、自分がしっかりと理解したうえで取り組みたい。そんな思いから当時、大阪でゲイの方々が集う地域があって、そこに通って、勉強をさせていただくところからスタートしました。

 あと、お仕事で「おすぎとピーコ」さんやピーターさん、マツコ・デラックスさんといった方々にお会いするたびにごあいさつをして、決まった規則があるものではないんですけど、自分なりに筋を通すというか、しっかりと思いを伝える。そんなことも並行して続けてきました。

 そんな状況でHGというキャラクターをやらせてもらってきたんですけど、今から5年ほど前ですかね。膝から崩れ落ちるような思いをしたんです。

 いわゆる一発屋芸人ばかり30人くらいが集まっての番組ロケがあったんです。真ん中にやぐらを組んで、盆踊りみたいにみんなが輪になって踊って、順番に往年のギャグを披露していく。実に楽しく、盛り上がる企画で、僕の順番がまわってきました。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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キャラクターは「子ども」みたいなもの