逆に、日本ではいつも犬食いはやめろと親に注意されてばかりいる我が愛娘こそむしろ、韓国ではしつけの行き届いた日本人という名声をほしいままにし、未来の日韓関係に大きな役割が期待されてしまう。韓国を修学旅行先に選ぶ日本の高校が増えている理由もまさにここにあるのだろう。
というわけで、列をなして羽田行き飛行機の搭乗を待っている神奈川県某高校の修学旅行生の団体が目の前にいる。2人で談笑中の男子高校生のところに、何やら女子高校生3人組が近づいて話しかけた。どうやら記念撮影をしたいらしい。
男子の1人が3人組からデジカメを渡され、もう1人の男子高校生と女子3人とが一緒の写真を撮らされている。そのたびに、「あー、変な顔しちゃったからやり直して」、「もっとこっちの角度から写してよ」と厳しい注文が飛ぶ。
やっと撮影が終わったので、今度は交代して、撮影役であった男子と3人組女子の4人の写真撮影となるのかな、とばかり思っていたところ、「じゃーねー」、「修学旅行のいい思い出になったよね」などと言いながら3人組は速やかに立ち去ったのだった。
衝撃であった。私の目にはその男子高校生2人の容姿にこれといった差異は見出せない。にもかかわらず、3人組にとっては相対的な違いが明確であったのであろう。
撮影役だけを押し付けられいいように使われたあげく一顧だにされず終わった片方の男子高校生が受けた精神的苦痛を考えると目頭が熱くなる。
ふと50年以上前の自分は幸せな高校生だったのか、気になってきた。