大谷翔平の写真が表紙を飾る女性週刊誌の数々(撮影/写真映像部・和仁貢介)

 大谷翔平の人気が止まらない。いままで野球に興味のなかった中高年女性をも虜にしている。いいことなんてほとんどない日本経済の救世主となるか。AERA 2024年4月1日号より。

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 通勤で渋谷を経由する女性(40代)は人の多さにうんざりするのが常だが、1月16日から31日は、渋谷で降りるたびに胸が高鳴った。目当ては、瞳が印象的な大谷翔平選手の大型交通広告。「射抜かれ」たくて、会社が休みの日も渋谷へ。

「社名の認知向上とかなりの経済効果につながった」と話すのは、この大型交通広告で渋谷をジャックした「dip」のマーケティング統括部ブランド戦略部部長、大門一将さん。求人サービス「バイトル」「はたらこねっと」などを展開する人材サービス大手の同社は、サービス名は周知されているものの、社名に関してはそこまでではなかった。

 今後AIを活用した事業を本格化させることから、これまで以上に企業への信頼感、企業の認知を高めることが大事と、大谷選手をブランドアンバサダーとして起用。大谷選手がドジャースへの移籍会見をした12月15日に合わせて発表し、同時に同社代表取締役社長兼CEOである冨田英揮さんと大谷選手の対談動画を公開した。

「対談動画、渋谷ジャックなど、世間からの大谷さんの注目度を活用した施策が功を奏し、従来PRに比べて10倍のメディア露出があった。渋谷ジャックの当日、朝早くからソワソワしながら見ていたのですが、老若男女がスマホで撮影しSNSで話題になった。高いエンゲージメントを得られました」(大門さん)

 大谷選手が結婚を発表した翌週発売の女性週刊誌(週刊女性、女性自身、女性セブン)は全て、大谷選手が表紙。3月4日に発表された「トップカバーアワード」では、昨年発売の雑誌で表紙を飾った回数ランキングで大谷選手は総合2位。日本最大のフリマサービス「メルカリ」を見ると、大谷選手が表紙の雑誌はもちろん、大谷選手の名前が見出しに躍るスポーツ新聞、機内誌、地方紙の号外、ボトル缶などなど。ユニフォームやサインボール、クリアファイルやカレンダーのような“定番モノ”は言わずもがな、だ。

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