アルファ碁と戦うイ・セドル氏(2016年3月・AP/アフロ)

人工知能(AI)が急速に進化を遂げ、人類のアイデンティティが脅かされつつある。千葉大学脳神経外科学元教授の岩立康男氏は、著書『直観脳 脳科学がつきとめた「ひらめき」「判断力」の強化法』(朝日新書)のなかで、AI時代を生きていく現代人に向けた思考のヒントを提示している。AIに淘汰されやすい人材と、必要とされる人材とは?『直観脳』から一部を抜粋して解説する。

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AI時代を勝ち抜くヒント

 私が注目するのは「どういった考え方の人がAIによって淘汰されやすいか」という点だ。

 AIは知識・データの活用、そしてそこから導き出される論理的思考において、人間が全くかなわない仕事をする。つまり、知識の活用、論理的思考だけを武器とする人材の前にAIが立ちはだかるということになる。

 これまでの日本における高学歴人材、受験エリートと言われる人たちは知識と論理に強い人材であるのだが、それこそがAIの最も得意とするところである。これまでエリートと言われてきた人たちも、それだけに安住していたらAIに淘汰されることになってしまう可能性がある。

 それではどのような人材がAI時代において真に必要とされる人材になり得るのであろうか。

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岩立康男

岩立康男

岩立康男(いわだて・やすお) 1957年東京都生まれ。千葉大学脳神経外科学元教授、現在は東千葉メディカルセンター・センター長。千葉大学医学部卒業後、脳神経外科の臨床と研究を行う。脳腫瘍の治療法や脳細胞ネットワークなどに関する論文多数。2017年には、脳腫瘍細胞の治療抵抗性獲得に関する論文で米国脳神経外科学会の腫瘍部門年間最高賞を受賞。主な著書に『忘れる脳力』(朝日新書)がある。

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