アルファ碁と戦うイ・セドル氏(2016年3月・AP/アフロ)
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人工知能(AI)が急速に進化を遂げ、人類のアイデンティティが脅かされつつある。千葉大学脳神経外科学元教授の岩立康男氏は、著書『直観脳 脳科学がつきとめた「ひらめき」「判断力」の強化法』(朝日新書)のなかで、AI時代を生きていく現代人に向けた思考のヒントを提示している。AIに淘汰されやすい人材と、必要とされる人材とは?『直観脳』から一部を抜粋して解説する。

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AI時代を勝ち抜くヒント

 私が注目するのは「どういった考え方の人がAIによって淘汰されやすいか」という点だ。

 AIは知識・データの活用、そしてそこから導き出される論理的思考において、人間が全くかなわない仕事をする。つまり、知識の活用、論理的思考だけを武器とする人材の前にAIが立ちはだかるということになる。

 これまでの日本における高学歴人材、受験エリートと言われる人たちは知識と論理に強い人材であるのだが、それこそがAIの最も得意とするところである。これまでエリートと言われてきた人たちも、それだけに安住していたらAIに淘汰されることになってしまう可能性がある。

 それではどのような人材がAI時代において真に必要とされる人材になり得るのであろうか。

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アルファ碁の1敗に注目