ともに戦う「兄と妹」
物語としての『鬼滅の刃』の大きな特徴のひとつですが、彼らはともに旅に出て、ともに戦います。片方だけが戦うのか、一緒に戦うのか、離れ離れになることを選択するのか――これは作品特徴を決定する重要な項目です。
『鬼滅』では、当初は炭治郎が一方的に妹を守ろうとします。ですが、兄への愛情に満ちた禰豆子は、「人を救う鬼」として戦闘に加わり、鬼化後の身体的特性を生かして、炭治郎や鬼殺隊の窮地を救っていきます。
そして、彼らはどんな状況になっても、決して互いに離れようとはしません。竈門兄妹の協力者である鬼の珠世が危険を察知して、ある時「禰豆子さんは私たちがお預かりしましょう」と呼びかけるのですが、炭治郎と禰豆子はそれを断ります。
「…ありがとうございます でも 俺たちは一緒に行きます 離れ離れにはなりません もう二度と」(竈門炭治郎/3巻・第19話「ずっと一緒にいる」)
ここで念頭に置いておかねばならないのは、炭治郎にはいつでも死ぬ覚悟がある、ということです。「一緒に行く」というこの言葉は、「一緒に生きる」という願望が込められてはいるものの、「死ぬ時にそばにいる、ともに死ぬ」という意味も含有しています。彼らは1歳違いの兄妹ですが、禰豆子の鬼化後、「2人で1人」のような状態になったと考えられます。