※写真はイメージです(Getty Images)

 健全な企業経営にとって、必要不可欠な「管理会計」。しかし、その言葉は翻訳によって本来の意味から変わってしまったと指摘するのは、米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBAを取得し、経営コンサルタントとして活躍する國貞克則氏だ。「管理会計」の本質を朝日新書『財務3表一体理解法 「管理会計」編』から一部を抜粋、再編集して解説する。

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未来に向かって手を打つ

 会計をマネジメントに活用するということに関して説明しておきたいことは、未来に向かって手を打つことが大切だということです。

 私たちは英語を日本語に翻訳して使っています。英語とほぼ同じような意味の日本語に翻訳できている単語もあればそうでない単語もあります。日本では“Management”が「管理」と訳されてきました。管理と訳されたために“Management”のイメージが大きく変わってしまいました。

 もちろん、“Manage”という言葉には“Control”的な意味合いもありますし、日々のマネジメントに管理は必要です。実際、私たちの日々の仕事の多くは計画と進捗管理です。管理会計においても、売上高に合わせて費用をコントロールしていくといった管理的要素は必要です。

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國貞克則

國貞克則

1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、鉄鋼海外事業企画部、建設機械事業部などで業務に従事。1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。日経ビジネススクールなどで公開セミナーやeラーニングの講座を担当している。著書に『新版 財務3表一体理解法』『新版 財務3表図解分析法』(ともに朝日新書)、『渋沢栄一とドラッカー 未来創造の方法論』(KADOKAWA)、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)などがある。

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管理会計は管理だけするものではない