大阪府八尾市の市立大正中学校の体育祭で、「組体操」で実施した10段ピラミッドが崩れ、生徒が怪我をした事故が注目を集めています。



 同校での事故については、"尾木ママ"こと、教育評論家の尾木直樹さんも、自身のブログで「組体操は緊急中止すべき!!」と発言したことも話題となりました。



 尾木さんのように、組体操を反対する識者もいる一方で、教育現場からは「スポーツに怪我はつきもの」「組体操には、教育的意義がある」「組体操がなくなったら、運動会はつまらないものになる」「何でもかんでも危険と言ったら、何もできなくなる」という声も少なくありません。



 そこで今回は、『子どもも観客も感動する! 「組体操」絶対成功の指導BOOK』(関西体育授業研究会著、2014年、明治図書刊)と、『教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』(内田良著、2015年、光文社刊)の2冊の本をもとに、組体操で巨大ピラミッドを実施することのリスクについて考えてみたいと思います。



 保護者や教育関係者の間でも賛否両論がある組体操ですが、実は、文部科学省が定めた「学習指導要領」には組体操の記載がありません。これはつまり、文科省および教育委員会は"組体操は体育の授業で教えるには適切ではない"と判断しているともいえます。



 組体操をまったく行わない学校がある一方で、学校独自の判断で組体操を熱心に行う学校が存在します。学習指導要領にないにも関わらず、組体操を実施する教育的意義には、どのようなものがあるのでしょうか?



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