川西市の中学校給食の一例。白飯、すまし汁、筑前煮、大根のあえもの、エコ昆布(佃煮)という和食のメニュー。「エコ昆布」は出汁をとった昆布を利用している=同市提供

 ご飯が進むようにおかずの味を濃くしたいところだが、調味料の量を増やすと塩分量が増えてしまう。できるだけ出汁を濃くしようとすると料理時間も長くなる。

 出汁をとった昆布を佃煮にしたり、醤油で味つけした混ぜご飯を増やしたりと工夫をしてきたが、残食はなかなか減らない。

 悩んでいたところに生徒が提案したのが、「ふりかけ」だったのだ。
 

寄せられた賛否の意見

「ふりかけは脅威」

 昨夏の市議会で、黒田市議がこう言って市を批判したことを今年2月、ABEMA TVが報道すると、「ふりかけ論争」がネット上で加熱。ほかのマスコミも相次いで伝え、市にはさまざまな意見が寄せられた。

 賛否は半々だった。

 最も多かったという賛成意見は「ふりかけでご飯が進むのなら、それでいいじゃないか」というもので、ほかには「ふりかけ持参の何が問題なのかわからない」「生徒の提案なのだから尊重すべき」などだった。

 反対の多くは「せっかく栄養教諭が栄養やバランスを考えて提供している給食にふりかけを加えるのはどうか」という意見で、「食物アレルギーは大丈夫なのか」という声もあったという。
 

 黒田市議は、こう指摘する。

「給食は栄養バランスを考え、徹底した安全管理のうえで提供されている。そこに家から違う食べ物を持ってくるということがスムーズに行われてしまったことに、危機感と脅威を感じる」

 給食は教育の一環であり、学校側と生徒たちが食育という観点で食べ残しについて十分に話し合っていれば、配膳や食べ方のルールを変えるなど、もっと違ったアイデアが出たのではないかと感じている。

「川西市の中学校給食はまだ始まったばかりです。現場の職員たちはいい給食を作ろうと頑張っているし、それをさらによくしようと研鑽している。今回のふりかけ持ち込みはあまりにも拙速だったと思います」
 

次のページ
ふりかけを持参する生徒は少数派