集会では驚くほど多くの若い人がケフィエやパレスチナの旗のカラーの服を身につけていた。昨年11月、ケフィエを身につけたパレスチナ人大学生3人が、銃で撃たれる事件が東部バーモント州であった。ケフィエは以来、パレスチナ支持を示すとして身につけるのは危険とみなされるようになったが、ニューヨーク市内の地下鉄などでも若い人が「抵抗」やバイデン政権とイスラエル政府への「批判」をこめて着用している。それほど、イスラエルとハマスの戦争に対する若い人の関心は高い。

急速に増す関心

 ミレニアル世代でアート教師のメリッサ・ロスさん(39)は3月5日、スーパーチューズデーの午後、マサチューセッツ州ケンブリッジの投票所前に立っていた。「民主主義を取り戻す」(ロスさん)ことを訴え、彼女が支持する女性下院議員の名の看板を掲げている。

「過去のように若い人がノンポリという時代ではもうない。アメリカの民主主義は崩壊しつつある。地球環境は破壊されている。戦争が二つも続いている。でも親は生活を支えるのに忙しくて、なぜこんなことになっているのか教えてくれない。だから若い人は自ら危機を学んで判断し、行動を起こしている」

 とロスさん。Z世代を多く含む反イスラエルのグループにも属し、若い人が急速に選挙に関心を抱いているのを肌で感じている。

もう一つの地雷

 もう一つのバイデン陣営にとっての地雷は、移民問題だ。

「ジョー・バイデンには我慢ならない。住むところも決まっていない移民をこんなにのさばらせて」

 と、ニューヨークのバーテンダー、バジル・ファイエロ氏(71)は、新聞を見て声を荒らげていた。

 ニューヨーク市消防局(FDNY)は2月26日、市内家具店の地下室にアフリカからの越境者78人が生活しているのを発見し、即日、立ち退きを命じた。ファイエロ氏は、このニュースに腹を立てていたのだ。筆者が現場に行くと、越境者をかくまっていた家具店オーナー、エブ・サー氏がとつとつとこう語った。

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