2015年に行われた初の東京ドーム公演で着用した衣装へのオマージュだという白地に金の刺繍の上下に身を包んだTAEMIN(左)、KEY(中央)、MINHO。こうした衣装から、楽曲の選択・構成、スクリーンの演出のすべてが、これまでを大切にしながら「これからを歩いてゆこう」という想いに溢れていた(撮影:石井亜希/田中聖太郎写真事務所)

 2015年の初東京ドーム公演から9年。「SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]JAPAN FINAL LIVE in TOKYO DOME」のステージは、楽曲構成から衣装、演出まで、KEY、MINHO、TAEMINの覚悟と想い、そして愛にあふれていた。AERA 2024年3月18日号より。

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 MINHOが大きな右手で顔を覆う。その指の隙間には、頬に流れ落ちる涙の筋が光っていた。目のまわりを赤く染め、こらえているかのような表情のTAEMIN。KEYはたまらず、シャツの袖で目元を押さえる。

 SHINeeにとって6年ぶりのドーム公演。アンコールの最後、「SHAWOL(ハート)SHINee」の文字が、会場の客席にサプライズで浮かび上がる。言葉もないまま立ち尽くす3人に、SHAWOLことSHINeeのファンから、愛に満ちたコールが降り注いだ。

「Body Rhythm」でシャツを脱ぎ捨てたあと、シックスパックを見せつけたMINHOに、TAEMINも「JUICE」で何度もちらり。その後TAEMINが「MINHOさんがぜんぶ」と笑いながら上衣を捲くる振りをすれば、MINHOも「TAEMINくんも……見ました?」と観客に[写真:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)]

思い出の曲を歌う覚悟

 開演時間。ドームが一瞬暗くなるや、グループカラーであるパールアクアグリーンに光る巨大スクリーンに3人のシルエットが浮かび上がり、「Clue+Sherlock(Japanese Ver.)」のオリジナル音源が流れはじめる。そのシルエットがやがて5つになった瞬間、ドームはくぐもるような感動の声に包まれた。

 2015年、初の東京ドーム公演で着用した衣装へのオマージュだという白地に金の刺繍の上下に身を包んだTAEMIN、MINHO、KEYがスクリーンの向こうから姿を見せると、その感動はさらに大きく弾けた。会場いっぱいに「SHINee's BACK」の声が響くなか、新しくミックスしたという12年の大ヒット曲、メンバー曰く「NEW『Sherlock』」で、怒濤のようなライブが走り出す。

「オープニング曲から、アリーナツアーとはけっこう変わったと思いますが」とKEYが語ったとおり、「Picasso」(14年)、TAEMINが「特に懐かしい曲だったと思います」と語った「Stranger」(11年)、そして「君のせいで」(16年)、「Get The Treasure」(17年)と、久しぶりのナンバーを立て続けに披露。

「振り付けはまあ、90%くらい忘れちゃってたんだけど」と笑いを誘ったKEYが、奇しくも「新曲の練習するみたいに」と口にしたが、思い出の楽曲を新たに踊り、歌うのは、簡単なことではなかったはずだ。

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