初めて見せた涙の理由
迎えたアンコール。「Super Star」(21年)、「Runaway」(13年)、「The Feeling」(23年)を、フロートでアリーナ外周をゆっくりまわりながら届けたあと、「何年も歌っていなかった曲なんですが、SHINeeにとっていろんな思い出があるし、特別な意味のある曲」──そうKEYが紹介した「Colors Of The Season」(14年)が流れた。涙に詰まるKEYを支えるように、歌声が重なって響く。MINHOもTAEMINも瞳をうるませるなか、会場を彩るペンライトの光が3人を包んでいた。
そして、フィナーレの「1000年、ずっとそばにいて…」(12年)。これまで何年も、涙するメンバーを温かく見守ってきたMINHOが、初めて自身の涙を見せた。「本当に今日、心配でしたけど、悩みがなくなりました」と胸の裡(うち)を吐露する。
TAEMINが「いつのまに、MINHOさんがね、みんなの前で泣くことができるようになりましたよね」とちゃかすと、すかさず「歳だよ、歳!」とKEY。「歳か!」と泣き笑いするMINHOに肩を抱かれたTAEMINは、「これが絆か……歳か。どっちだろう?」と、会場全体を涙と笑顔で満たした。
「昔の思い出を思い出すことができる曲を選ぶことに集中した」(KEY)というセットリストはもちろん、スクリーンに映し出される映像やオリジナルの音源も、衣装やペンライトといった演出も、このドーム公演のすべてが、SHAWOLとともに「これからを歩いてゆこう」とする彼らの意志と想いに溢れていた。「行ってきまーす!」の声とともにステージの奥に姿を消したSHINeeに、再び会える日は遠くないだろう。(編集部・伏見美雪)
※AERA 2024年3月18日号