倉部史記さん/高大共創コーディネーター、追手門学院大学客員教授、情報経営イノベーション専門職大学客員教授(撮影/永田雅裕)

 大学受験において、志望校選びは重要だ。「未来につながる進路」とは? 高大共創コーディネーターとして全国各地の高校で「進路づくり教育」をテーマにした講演を行っている倉部史記さんに話をきいた。(※2024年3月2日に行われた「AERAサポーター高校限定イベント」での講演内容を採録、編集した)

【写真】2050年の世界GDPランキング予想は?

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15年後、20年後――。今はまだ存在していない職業に就く子どもたち

 いま、子どもたちの「なりたい職業」の上位にあがるYouTuber。その歴史はまだ浅く、日本でその存在が現れたのは2007年頃だ。SNSの普及やAIの進化など、社会の変化によって、15年前には予想もつかなかった職業がどんどん登場している。

「現在の小学1年生が、『いまはまだ存在していない仕事』に就く割合は何パーセントだと思いますか?」

 倉部氏が紹介した推計は「65%」。つまり2040年に大学を卒業する人の半分以上は、今はまだ存在していない職業に就く可能性があるということだ。

「本当かとうたぐりたくなるような数字ですよね。しかし、私たちが生活の中でインターネットを使い始めたのは1995年以降。それから30年もたっていないのに、社会が劇的に変わったことを考えると、ありえない話ではありません。AIの広がりもあり、変化はますます加速するかも知れません」

変革の時期こそ若者にはチャンス?

 グローバル化においては、さまざまなデータから、「現状の日本は海外と比較し停滞している」と倉部氏は話す。

 たとえば海外に長期留学する日本人数は2004年の8万3000人から17年には5万8500人に減少。一方、米国、インドなど他国は増加の傾向で、中でも中国は40万人弱から93万人と2倍以上伸びている。

 国際競争力の衰微も激しい。世界競争力ランキングでは、トップを誇っていた1990年から、30年ほどたった2021年には31位に落ち込んでいる。さらに将来の見込みも暗い。GDP順位は、24年の4位から50年には8位へ下ると予測されている。

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高校生にとってはチャンスの時代