
課題は多いように思えるが、倉部氏は「高校生にとってはチャンスの時代」と話す。
「上の世代にとってはピンチかもしれませんが、変革の時期こそ若者にとってはチャンスです。年功序列の壁に、実力で風穴を開ける社会になりつつある。日本が合わなければ、世界に出て勝負すればいい。そういう時代になりました」
「一生同じ職場」から「何度も転職」する仕事観への変化、「専業主婦も少なくない」社会から「共働きと独身世帯が大半」の社会への変化。これらの変化を踏まえて、倉部氏は従来の日本社会を「普通の人生というモデルがあった」社会とし、これからは「自分の人生を自分でつくる」時代であると定義する。
そのうえで『進路』は「今ある選択肢」から「選ぶ」のではなく、「つくる」という姿勢で考えさせるべきだと強調する。
「『進路選び』という言葉には、今ある選択肢から選ぶ、選んだ結果は一生続くというニュアンスがあるかと思います。そこで私は、高校生や高校教員の方々に未来の話をするときには『進路づくり』という言葉をつかっています。学びや仕事を通じて自分の強みを増やし続けること、強みの組み合わせで、自分の勝負の仕方を自分でつくることが、これからは大切になってくると思います」
勉強を頑張る、スポーツを頑張る、なにかテーマを見つけて探究を頑張る――。それぞれ強みは違いますが、 本人が選んで本気で没頭したことが強みになる。それが進路をつくるうえでも、重要になってくると倉部氏は言う。
「大学に入学したら4年で卒業し、新卒就職した先である程度は働き続けるのが普通だ、と考えている人が多い。でも実はそうなる学生は3割程度というデータもあります。大学で中退や留年をする人、卒業時に就職しない人、最初の職場を早期離職する人…という学生の方が7割近く。思い描いていた内容とは異なる学部に入学してしまったなど、進学でのミスマッチも多い。受験での合格をゴールにするのではなく、その先を見据えた『進路づくり』の視点を持っておくことが大切です」