そして、
「その不動産営業の人が、受け取った信用金庫のお客様リストをどうしているかについては、僕たちはわかりません」
と語った。
金融機関による個人情報の外部への流出もたびたび、事件化している。
2020年9月、野村証券の元社員が元部下だった社員に働きかけ、法人の顧客情報275社分を外部の証券会社へ流したことが明らかになった。2009年には、三菱UFJ証券の元社員が顧客情報約148万人分を流出させたことが明らかになった。当時の裁判資料などによると、元社員は借金の返済目的で4社の名簿販売業者へ顧客情報を13万円で売却した。流出した顧客情報は90社以上に転売されたという。
「ルフィ事件」で闇名簿を流したのは?
さらに取材を続けていくと、「ルフィ事件に使用された名簿」について話を聞くことができた。事件にはかかわっていないが、逮捕された事件関係者と面識があるという男性だ。
男性は、一連の広域強盗事件でどのような形で闇名簿がルフィ側に渡ったのかについて語った。
「ルフィ一派に闇名簿を流したのは、『JPドラゴン』というフィリピンで暗躍する組織です。日本人の元暴力団や半グレなどで構成されていて、現地で賭博行為などの仕切りをしていました。もともと、特殊詐欺のリストがあって、そこには保有財産が書かれていましたから。それを強盗に使えないかと考え、今回の犯行に至ったのです」
男性の話によれば、ルフィ事件で逮捕された下部の一人である今村磨人(きよと)被告=強盗致死傷罪などで起訴=がフィリピンで収容されていたビクタン収容所に、JPドラゴンのメンバーが訪れて何度も面会していたという。そうして接触を重ねながら、JPドラゴン側がルフィ側とリストを共有し、犯罪の手助けを行っていたというのだ。
このリストはどうやって名寄せされ、誰から購入したものなのか。
質問すると、
「これ以上の話はできない。命の危険がある」
と言われ、それ以上の証言を得ることはできなかった。