カードに関する個人情報は3万件を超えていた

 政府の個人情報保護委員会が2018年に公表した、名簿の販売業者などに関する実態調査では、不正に入手した個人情報が複数の「名簿屋」に転売され、そうした個人情報の売買が犯罪行為を誘発する原因として問題があるとしている。

 一方で、ニュースには出ない隠れた部分で行われている小規模な売買も怖い。

「行政関係者が流してしまうケースもあるけど、民間ではネット通販会社の人や不動産営業マン、あとは新聞販売所に勤めていた人とかかな。とくに金融関係なんて『ザル』に近いです。いわゆる不良社員が、お金欲しさに顧客の預貯金額などが書いてある名簿を平気で売ってくる。そういうのは、そこらへんのチンピラでも簡単に掲示板で買える」

 と話すB氏。さらに、こう続けた。

「あと、実際にその闇名簿が使えるものかどうかも、チェックすることがある。例えば、“たたき(強盗)”に入るとき、受け子や出し子に実際にその家に行かせて、人の出入りを確認させる。警察官を装って自宅へ行かせて、防犯のため、と言って話を聞く。そこで、実際に名簿の人物がいるのか、在宅の時間やタンス貯金の話も聞き出す」

信用金庫職員「名簿が流れている」と告白

 昨年12月下旬。ある信用金庫に勤める20代の男性と接触した。その男性は信用金庫の内情をこう説明した。

「ほんとはダメなんですけど、営業をするときに信用金庫のデータベースからお客様リストを紙に印刷して持ち出すんです。本来、上司の判子は必要だけど、別に判子なしで持ち出しても何も言われないし、上司も見て見ぬふりです。もちろんそのリストには、氏名や住所のほか、預貯金額が書かれています」

 そして、そのリストを悪用してしまう人がいると話した。

「営業成績があまり良くないと、不動産営業の人とこのリストを共有してしまう人がいるんですよ。不動産営業をかけたあと、信用金庫の職員が行くとローンの商談がうまく進んでしまうケースもあって。不動産営業側にとってみれば不動産の成約にもつながるから、両者ともおいしい思いができるんです」

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