年間3億円以上の赤字が想定され、地元では「血税を使うな。一刻も早くドームを解体せよ」という声も多く出ている。

「ドーム側は草野球やナイトラン(市民ランナーの使用)への広がりを強調するが焼け石に水。ネット上で議論されている競輪開催や解体して競馬場にする案などの方がよほど現実的にも感じる」(北海道内テレビ局関係者)

 3月30日開催の「SAPPORO MUSIC EXPERIENCE 2024」に望みを託しているようだが、単発イベント開催だけではどうしようもない状況だ。

 凋落が著しいドームを尻目にエスコンに関しては景気の良い話が止まらない。エスコンを運営する株式会社ファイターズスポーツ&エンターテイメントによると、昨年は来場者が年間300万人を突破。ドームが本拠地だったコロナ禍前2019年に9億5000万円だった営業利益は26億円となる見込みだという。

「開場2年目のエスコンは勢いが止まりそうにない。球場を中心とした街づくりも少しずつ形になりつつある。世間的注目度もより高くなり、スポーツのみならず経済関連のマスコミなどで見かける回数も増え宣伝効果がすごい」(大手広告代理店関係者)

 球場だけではなく、北海道医療大学がエスコンを中心とする複合施設「北海道ボールパークFビレッジ」へ移転することも決まった。他にも同敷地内へ移転を考えている施設や企業との交渉も進んでいる。「エスコンを中心とした街づくり」が着々と形になり始めている。

「球場などのハードだけでなく斬新なソフトも出始めている。新庄剛志監督が発案した『111ホームラン賞』には今から注目が集まっている。第1号を放った選手はFビレッジの歴史に名前が刻まれる。選手間でも誰が打つのかを予想し合っていた」(日本ハム担当記者)

「111ホームラン賞」は新庄監督をモチーフにした看板に本塁打を当てた選手に賞金111万円を贈呈する企画。賞金額111万円は新庄監督の背番号1とエスコンのタワー11にちなんで決定された。このような“自由な発想”は自前球場ならでは。札幌市が所有するドームでは実現できないようなアイデアでもある。

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今後はさらに“差”が広がる?