そう話すのは、65歳以上の顧客を専門にする不動産会社「R65不動産」の山本遼社長だ。

 たしかに、政府の検討会の調査では、大家など貸す側の7割が高齢者に拒否感を持っていることが明らかになった。「R65」の調査でも賃貸住宅を探した65歳以上の約4人に1人が、入居を断られた経験があると回答した。

 “高齢者”を取り巻く状況は決して明るくはない。だが、山本さんは調査の数字を見て、こうも指摘する。

「高齢者が入居しても構わないよ、という姿勢の大家さんが『3割もいる』ということですよね。実際、親から不動産を受け継いだ若い世代の大家さんや、同じく若い年代の不動産会社の経営者は柔軟な姿勢の方が多く、時代が変わってきているとも実感しています。ビジネスの観点から『これからは高齢者ですよね』と話す方も多くなってきていて、こうした流れをどう拡大していくかだと思っています」

 状況を変えていくためには何が必要なのか。

「見守りサービス」の存在

 山本さんは、大家を「守る」仕組み作りを進めることと、そうした仕組みやサービスがすでにあることを大家に知ってもらうために、情報発信することが必要だと訴える。

 高齢者に物件を貸した経験がある大家や不動産会社は、実は非常に少ないのだという。リスクを軽減し、不安を和らげる仕組みやサービスがあるのだが、経験がないがゆえに、知らないケースが少なくない。

「特に、年配の大家さんは、『分からないから怖い』と話す方が目立ちます」(山本さん)

 高齢者との契約を検討するにあたり、山本さんが知って欲しいこととしてまず挙げるのは、「見守りサービス」の存在である。

 一例を挙げれば、通信機能を備えた電力スマートメーターから得られるデータを利用し、その物件の電力使用状況に異常があったときに、すぐに居住者に連絡し、本人と連絡がつかない場合は管理会社や大家に電話が行くサービスがある。R65でも扱っており、大手電力会社が出資する企業との実証実験も行っている。

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