早期発見により、原状回復するまでの間、物件を貸し出せなくなるリスクが軽減できる仕組みだ。
「コストも安く、監視カメラとは違い、居住者のプライバシーも守られます。こうしたサービスがあることをもっと広めていきたい」(山本さん)
冒頭の孤独死した入居者と大家は、見守りサービスには入っていなかった。
孤独死した場合、状況によっては原状回復の費用が高額になる。
「間取りが1Kの場合、発見が遅れて特殊清掃が必要な場合はだいたい60~70万円。室内がゴミ屋敷のようになっていれば、さらにかかるでしょう」(山本さん)
貸主が高齢者を敬遠する大きな要因の一つだが、室内の清掃や修繕費をカバーする保険が複数販売されており、R65でも見守りサービスと一緒に加入をすすめている。
福祉とのつなぎ、行政支援が必要
また、特に身寄りがいない人が亡くなったあとは、残置物の処分の問題が生じる。貸主が勝手に処分することはできず、時間と手間がかかる場合がある。だがこれも、入居者の推定相続人か、高齢者の住宅確保を支援する「居住支援法人」などに委任する形で、残置物を円滑に処分できる「モデル契約条項」を国土交通省と法務省が示した。事前に備えをしておけば安心ということだ。
家賃滞納についても、先入観を持たれているだけで、実はさほど多くはないと山本さんは話す。
「高齢者は年金暮らしで収入の増減が少なく、ある意味で生活が安定しています。収入に見合った物件を探しますし、次の物件探しが難しいことも理解していますので、そうは滞納しませんよね。どちらかと言えば高齢者より若い世代の単身者の方が、突然仕事を失うなどして滞納してしまうケースが目立つ印象です」
今後、向き合わなければならない大きな課題はある。入居した後、認知症になった高齢者にどう対応するかという点だ。
「弊社だけの力では限界があります。福祉とつないでもらうなど、行政の支援が必要で、どう解決していくかを一緒に考えていただきたいと思っています」