ジャンプを1ページめくるたびに、ドキドキしてワクワクしてたまらなかった。いつしか自分もこんなものを作りたいと本当に思い始めた。自分に絵の才能はなかったので、漫画家を目指そうとは思わなかったが、鳥山明先生の書いた漫画で、沢山の人が夢の種を持ち、それを育てて、エンターテインメントの世界で花を開かせまくっている人は数えきれない。

 昨年、『SAND LAND』が映画になり公開された。あらためて読んでみたのだが、『ドラゴンボール』のあとにジャンプで『SAND LAND』が連載されたときには正直物足りなさを感じて寂しくなったのだが、今になって読み返してみると、さらに悪者を主役にしながら、メッセージ性の強さに痺れる。

 鳥山明先生の突然の訃報。沢山の有名漫画家さん、著名人が追悼している。そんななか、あらためて鳥山明先生の作ってきたものの凄さをもっともっともっと国をあげて評価すべきときだと思っています。

漫画家では長谷川町子さんが受賞

 日本の漫画やアニメが世界で人気だが、やはりそれは『ドラゴンボール』があってこその部分も大きいと思っている。

 僕らの年代、50代中盤より下の世代は確実に鳥山明先生に影響を受けまくっているし、そのすごさを分かっているとは思うのだが、やはり、メディアにも姿を見せなかった人なので、もっとわかりやすく鳥山明先生の功績をたたえてほしいなと思う。

 例えばですが、国民栄誉賞。漫画家だと長谷川町子さんが受賞されています。手塚治虫さんは受賞してないですが、これは、僕は鳥山明さんに、国民栄誉賞なのではないかと本気で思っている。

 そうなると、鳥山明先生を称えながら、漫画家を始め、エンターテインメントにかかわるすべての人に夢を与えることが出来る。

 だから。そういうことが起きてほしいと強く願う。

鳥山明さん(1981年撮影)
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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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