ママと呼んでくれる「子ども」たち
当時まだ20代だった綾菜さんにとって、45歳年上の夫との間に子どもを持てるかどうかは大きな悩みだったことは想像にかたくない。しかし、そんな綾菜さんの苦悩を吹き飛ばす出来事が起きる。
「ある日、加トちゃんが寝てたので、布団かけようと思って行ったら、ふと寝顔が目に入って……その瞬間に『私は加トちゃんに120%の愛を注ごう』って思えたんです。もちろん、頭で考えれば、子どもをつくって加トちゃんにあと20年も責任を負わせるのはかわいそうだとか、これからの人生は加トちゃんが生きたいように生きさせてあげたいっていう思いなど、理由はあります。ただ、どうしてあのときあんなふうに思ったのかはわからないんですが、理屈ではなく、加トちゃんの寝顔を見て、『大切な人、ここにおるやん』って思ったんです」
実は今、加藤家には「子ども」がいる。もちろん実子ではない。近所の知り合いの子どもたちが家によく遊びにきて、一緒に過ごしているのだという。
「近所のいろんな子どもたちがウチに入り浸っているんですよ(笑)。血はつながってないけど、私と加トちゃんのことを第二のママとパパって言う子どももいますね」
子どもの参観日や発表会に参加することもあるという。
「参観日に加トちゃんと私で行ったら、その子、学校でめちゃめちゃ待遇が良くなって(笑)。子どもを育てたことないけど、こういう感じなのかなって想像したり。いろんな形があって、これはこれで良かったなと思いますね」