イジメを知った母からの手紙
その後もエスカレートしていくいじめ。ついに、綾菜さんの母親にもその現状が伝わったのだという。
「話していなかったのですが、あまりにひどくなり過ぎて、私がいじめられていることを母が知ってしまったんです。『学校行かんでいいよ』って母は言ってくれたんですが、私立に通ってたんで申し訳なくて、1日だけ休んで、その後は通ったんです」
それから、母親はお弁当に毎日手紙を入れてくれるようになったという。そこにはこんな言葉がつづられていた。
<綾ちゃんは学校でいろいろ言われてるかもしれんけど、お母さんそういう風に思わんよ。綾ちゃんは素晴らしい人なんだから、絶対自分を卑下しちゃいけないよ>
綾菜さんはそれを読みながら「よし、今日も頑張ろう!」と思えたという。
母親が授けてくれた言葉はこれだけではなかった。
「『勇気は出るものじゃなくて出すもの』って言われたこともすごく覚えています。それからは、毎朝、教室に入るときにあいさつしようって決めたんです。最初は当然誰も返してこないんですけど、半年間続けたら、一人の子があいさつを返してくるようになったんです」
そのときのことが、綾菜さんに大きな心境の変化を引き起こしたのだという。
「周りがどうとかじゃなくて、自分が変わればこうやって周りは変わっていくんだっていうことを子どもながらに理解できたんです。この経験があったから、加トちゃんと結婚してからのバッシングにも耐えられた部分はあると思います」