2021年4月から23年9月まで配信されたSpotifyオリジナルポッドキャスト「ホントのコイズミさん」の書籍化シリーズ3冊目『ホントのコイズミさん NARRATIVE』(303BOOKS)がこのたび刊行された(撮影:写真映像部・上田泰世 hair & make up:石田あゆみ styling:藤谷のりこ)

 大手紙で読書委員もつとめた本好きの小泉今日子さん。新たな女性像を切り開き、社会問題への発言でも注目されている。新刊『ホントのコイズミさん NARRATIVE』刊行を機に語った。AERA 2024年3月11日号より。

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──『ホントのコイズミさん』は、同名のポッドキャスト番組を書籍化したもので、今回でシリーズ3冊目となります。

小泉今日子(以下、小泉):そもそもポッドキャストの番組のテーマが「本」なんですね。私たちはコロナ禍を経験して、ステイホームのなか、あらためて本を読むということに目を向けた人、本を読む時間を大事にしたいという思いを再確認した人もたくさんいたと思うんです。

 大型書店だってどんどん閉店していく時代です。その一方で独立系の本屋さんや出版社さんって増えている。例えばフェミニズム専門の本屋さん、韓国文学しか置いてない本屋さん、LGBTに関する本を翻訳したり出版している出版社さん……そういうものをやっている人って、必ず強い思いがあるはずだし、その思いを聞ければ絶対面白いだろうし、共感する人もいるんじゃないかなって。本というものを通して、今の社会のいろんな面をソフトに伝えることができるのかな、そして聞き終わった後に、その本屋さんに行ってみようかな、買ってみようかなと、何か行動に繋がるといいな、聞いた人の次の扉が開けられるような内容にしたいなと思ってやり始めたものです。

読書委員を10年間経験

──過去には『モモ』(ミヒャエル・エンデ)や『キッチン』(吉本ばなな)など、小泉さんが愛読書だと紹介したことで大きな注目を集めた本はいくつもあり、読売新聞では読書委員を10年間つとめられました。

小泉:資料として読むだけの本は電子書籍でもいいかなということもありますが、スマホやタブレットだとなんか頭に入ってこない。老眼もありますし(笑)、やっぱり紙をめくる、質感や重みを感じる、そういうことがどうしても好きなんです。耳で受け取る情報と目で受け取る情報は、違う部分もあると思うんです。本を読むのは苦手だけど耳からだったら大丈夫だったり。音声のコンテンツを本にすることで、本でしか見せられないような多面的な見せ方もできると思いました。

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