小泉今日子さん。若い人への思いを「『楽しそうな大人』としてたくましく立っていてあげないといけないなと思います」と語った(撮影:写真映像部・上田泰世 hair & make up:石田あゆみ styling:藤谷のりこ)

──最近、対談やラジオ番組での、現在のバラエティー番組のあり方や芸能界の悪しき慣習などについての発言が注目され、どこか“ご意見番”のような扱いをされることもあります。

小泉:対談での「バラエティーはくだらない」みたいな発言は、言い方がきつかったかなと思ったのですが、実際に言っちゃったことですしね。そういう発言に触れることで、今まで意識したことがなかった人が「確かに」と思ったり、考える時間が生まれると思うんですよ。結局真ん中にいる人が動かないと世の中が変わらない気がします。発言を切り取られたり攻撃的な見出しをつけられて拡散されるのは不本意ではあるんですけど、それで真ん中の人の目に留まったり、考えるきっかけになるんだったらいいのかなって。

──いま、芸能界やメディアの世界は大きな転換点を迎えていると思います。

小泉:芸能界もメディアも、いろんなしがらみが複雑な構造になりすぎて、山みたいになっていて。その山は決して動かないと思っている人もいるでしょうし、動かしてもらったら困るっていう人もいるでしょう。それでもその山がほころび始めている感じは確実にあって。そういう時って、きっと世の中が変わる。でも、何かが変わるときって、痛みもともなうと思うんです。だけどその痛みはきっと希望につながるものなんだとみんながとらえられれば、少しは風通しもよくなるのかな。

私、全然変わってない

──20年に「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけSNSに投稿したことも話題となりました。

小泉:批判を受けて投稿を削除した若いアーティストもいました。だけど削除しないという意志を持つ大人もいないといけないのかなっていう感覚を、そのときに感じました。もう42年もやってるんだから、何を言われようと、受け止めるだけのメンタルが出来上がってるんですよ(笑)。それが私の役割だとまでは思っていませんが、楽しそうにたくましく立ってるぞって、そういうところは見せられたらいいなと思っています。

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