ド軍は「悪の帝国」?

 大谷や山本由伸、グラスノーなどの加入で、ドジャースは一気に優勝候補筆頭に躍り出た。

 野球専門局MLBネットワークによる今季の「選手ランキングTOP100」では、ベッツが2位、大谷が4位、フリーマンが5位に選ばれている(22年と23年に1位だった大谷が4位なのは、今季は投球ができないから)。この3人が1番から3番に並ぶと予想されるドジャース打線は、相手投手にとって脅威でしかない。

 フルタイムの投手としては史上最高額での契約を交わした山本は、メジャーでの投球経験がないことや体の小ささが不安視されていた。しかし、球質を表す数値では、どの球種もトップクラスを記録している。キャンプで実際に投球を見たチームメイトなどからも称賛の声が上がっている。

 他球団や他チームの間で、「打倒ドジャース」の熱が高まっているのは間違いない。かつてのニューヨーク・ヤンキースがそうだったように、金に物を言わせてスター選手を囲い込む「悪の帝国」だとの見方さえある。

 ドジャースの選手たちも、その立場を受け入れている。優勝に飢えるファンや球団関係者に、気にするそぶりはない。人気球団ドジャースに黄金時代が到来すれば、人気低迷が叫ばれるメジャーリーグにとっても朗報となる。サッカーがレアル・マドリードやマンチェスター・シティーのようなスター軍団によって盛り上がっているように。大谷は、まさにその中心にいる。日本人女性との結婚も報告し、大きな話題となっている。

「野球界で唯一のセレブ」とまで称される大谷は、ワールドシリーズ制覇という更なる高みに上り詰められるのか? 開幕が楽しみでならない。(在米ジャーナリスト・志村朋哉)

AERA 2024年3月11日号より抜粋

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