潮井エムコ『置かれた場所であばれたい』(朝日新聞出版)
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 研修会の後には、ひろみちお兄さんのご著書にサインを書いていただく機会まであって。実際に会ったのは初めてなのに、「ずっと見ていたんだよ」と言ってもらえたような気持になりました。私に限らず、あの頃テレビの前でひろみちお兄さんを見ていた子どもたちにとって、これほど嬉しい言葉はないんじゃないかなって。

 エッセイにも書いているんですが、ひろみちお兄さんは永遠に私たちの「お兄さん」ですね。

――ご自身の本の中で、潮井さんが特に気に入っているエピソードがあれば教えてください。

 終始しょうもないことしかいってない話と、最初から最後まで真面目なことを言っている話と、収録作品の中に結構温度差があるので、かなり悩みます……。笑える話だと、「義父とメダカ」でしょうか。

 私が、義理の父がかわいがっているメダカの水槽に尻を突っ込んだという話です。オットと結婚してすぐの頃、寡黙な義父と仲良くなるべくメダカの話題ばかり出していたら、メダカ好きだと思われてしまって。庭の水槽を見ながら熱心に話を聞いていたら、うっかりやってしまいました。

 これは、自分の中で絶対に書いてやる!って思っていたんです。すごく恥ずかしかったので、「エッセイのネタとして消化して元を取るぞ」って気持ちでやりすごしたことを覚えています。

 真面目系のエッセイでは、今回書き下ろした「庭木のピアノ」という、短大生の時のピアノの授業の話が気に入っています。

 幼稚園教諭と保育士の資格を取るためにはピアノの単位を必ず取らなければならないんですが、私はピアノ未経験からのスタートだったんです。そんな私のピアノの授業を担当してくださっていた先生とのエピソードを書きました。

 学内でも「厳しい」と有名な先生で、確かに練習しないとめちゃくちゃ怖い。でも、頑張ればそれをちゃんと認めてくれる先生で、そのおかげで辛い練習も頑張れた。とてもありがたい存在でした。独特で的確な表現で私の演奏を評価してくれるのが楽しみでもありました(笑)

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先生の独特な評価の言葉とは…