潮井エムコさんのエッセイは大きな話題となった
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 家庭科の授業での学生結婚子育て経験や、スパイであった祖母のコードネームが自身の名付けの由来であったという衝撃的事実など、ユーモアたっぷりのエッセイが度々注目を集めてきた潮井エムコさん初の著書『置かれた場所であばれたい』。の中で「不調和な刺激で満ちていた」と表現した10代までの思い出や、著者のこれまでを綴った数々のエッセイへの思いを聞いた。

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――22万超の「いいね」を集めた「学生結婚と子育て」(※初出時「女子高生の私が学生結婚した話」)は、潮井さんがエッセイをnoteに書き始めた2021年2月に発表された作品です。瞬く間に拡散され、メディアから取材依頼が舞い込むほどでしたが、元々文章を書くのは得意だったのでしょうか?

 いえいえ全く……。私は文章を読むのが苦手、書くのはもっと苦手な人間で、そんな自分を変えたいと思って練習のつもりでnoteにエッセイを書き始めたんです。

 美術系のコースの高校に通っていたこともあり、絵で表現するのは苦じゃない。なのでエッセイを書きながら「イラストで補足できたらもっとわかりやすく説明できるのに……」と思ったこともありましたが、それでは意味がないとグッと堪えてなんとか文章を綴っていました。

――最後に収録されている「ひろみちおにいさんといっしょ」がすごく好きでした。私もひろみちお兄さん世代なので、大人になった潮井さんに会ったひろみちお兄さんがおっしゃった「おおきくなったねぇ」という一言が、自分への言葉のようにも感じられて。収録にあたって、ご本人も快諾だったんですよね。

 心が広いですよね。“枝豆色のジャージ”とか失礼なこと書いてるのに、快諾してくださって。

 このエッセイは、私が幼稚園教諭をしていた頃、研修会でひろみちお兄さんにお会いしたときの感動を書いたものです。私がひろみちお兄さんをテレビで見ていたのは20年以上前。でも、あの聞き慣れた声と太陽のような笑顔を前にすると、一瞬で童心に帰ってしまうんですよ。その場にいた誰をも巻き込む、圧倒的「お兄さん力(ぢから)」を感じたことを覚えています。

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