毎月、家族で墓参りを続けているが、この2月は節分に合わせて鬼のお面を墓石に飾った。墓前で嘆き悲しむのではなく、初美さんと一緒にいる時間を明るく楽しむ。そんな墓参りを続けている。 

 そして墓参りの様子や、初美さんの誕生日祝いをブログにアップしたり、映画の舞台あいさつなどで、初美さんへの思いを語り続けたりしている。 

「忘れられてしまうことが、本当の意味で人が亡くなったということだと思うんです。これからもずっとママリンとつながっているんだよ、ということ。そして、この家が何代か続いたとして、もし誰かが困った事態に直面したとき、ママリンがその人に語り掛けて、助けてくれるんじゃないか。そんな思いでブログに残しています」 

 夫婦やパートナーの形は、それぞれだ。それぞれに出会いからの物語がある。

 40年近く前。8歳下の、まだまだ世間も知らない初美さんにひと目ぼれしてしまったダンカンさん。その猛アタックを初美さんは受け入れた。

「あの頃は、僕の周りには(同じたけし軍団の)ラッシャー板前とグレート義太夫くらいしかいなかったから、それよりは僕の方がいいって思ってくれたんじゃないですかね。消去法で、僕」 

 ダンカンさんはそう冗談めかして、こぼれた涙をぬぐう。 

 芸人仲間と新宿のディスコで飲みすぎてお金が足りなくなり、初美さんにタクシーで現金を持ってきてもらった夜は、そりゃ怒られた。 

 夫婦でお金を使い過ぎて、子どもたちに節約を誓った直後のこと。初美さんと街に出たら、大人気で品薄だったゲーム機がたまたま売っていて、夫婦で飛びついて買ってしまった。家に帰ると、当時小学生だった長男に「こんな家、出ていく!」と叱られ、「もっともだよね」と2人で反省した。 

 入院中の初美さんを見舞った日は、25回目の結婚記念日だった。だが、初美さんは体調が悪くて、楽しい会話はできなかった。 

 帰宅途中に、初美さんからメールが届いた。

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