人生の情緒面を満たしてくれる「恋愛」。
人生の経済面を保障してくれる「結婚」。
本来、異なるベクトルを持つ異種のゴールを、同時に手に入れなくてはならない緊張感は計り知れません。どちらか一つならば専念して集中できるのに、両方同時は難しい。二兎を追うものは一兎をも得ず。どうしてもどちらかに比重を傾けざるを得ないのです。
ゆえに「恋愛感情はほどほどに、経済的安定性を重視する」とか、「恋愛を重視したいから、結婚後の生活の安定は気にしない」などと優先順位をつけられればいいのですが、現実には「顔が良くて背も高くて、高学歴で年収1000万円以上の男性と大恋愛して結婚したい」と、複数の異なる要素をすべて叶えようとしてしまう。ほぼ不可能な幻想を真剣に求める婚活現場が誕生してしまうのです。
選択の岐路に迷う「個人化ネイティブ世代」
戦中世代、戦後の団塊世代は、大いなる「制約」の中で青春を過ごしてきました。無我夢中で働き、国民全体が苦難の時を脱し、豊かな生活を目指して邁進してきたのです。そうした先に実現した豊かな社会では、1980年代のバブル期に「24時間戦えますか」というキャッチフレーズのCMも生み出しました。日中はモーレツ社員として働き、夜は同僚と飲んで騒いで、憂さを晴らす。今の若者からすれば一種異様に見えるかもしれませんが、同時に社会全体には活気がありました。