悠仁さま初の地方公務となった全国高校総合文化祭「2023かごしま総文」で、実習を観察する悠仁さま=2023年7月、鹿児島県

 天皇陛下の64歳の誕生日を前に、皇居・宮殿の長和殿「石橋の間」で記者会見があった。陛下は能登半島地震での犠牲者に対する追悼の意と被災者への見舞い、そして被災地訪問への意思を示した。一方で丁寧に言及したのが、秋篠宮家の長男悠仁さまについてだった。天皇や皇族が発信する言葉は時間をかけて、ご本人によって丁寧に練られるものだ。陛下の会見に込められたメッセージを、象徴天皇制を研究する名古屋大の河西秀哉准教授が読み解いた。

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 能登半島地震や社会の情勢、皇后雅子さまの体調や長女愛子さまの進路など、今年の記者会見は印象に残る話題が多かった。そのひとつが、秋篠宮家の長男悠仁さまについてだろう。

 宮内庁記者会からの3つ目の質問は、皇位継承順位2位で、今年成年を迎える悠仁さまの成長や期待についてたずねるものだった。

 陛下は、小さい時から甥として成長を見守ってきた悠仁さまが、各地への訪問で人びとと交流し、少しずつ皇室の一員としての務めを果たしていることを頼もしいと感じた、と話した。
 

 象徴天皇制に詳しい名古屋大の河西秀哉准教授は、陛下のこうした言葉にある種のメッセージを感じたと話す。

「確かに、悠仁さまの話題に触れたきっかけは、記者会からの質問でした。陛下はご自身が日ごろ感じる思いを込めたはずです。陛下は最初に、悠仁さまが公務に参加し出した様子について言及しています。悠仁さまは、これまでの近現代の天皇のように父親の背中を見て皇位継承者として学ぶ環境にはありません。しかし、天皇陛下の言葉は、悠仁さまが公務に携わり成長している様子を天皇も見守っていますよ、ということでしょう」
 

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「両家は分断していない」