くらし文化研究所を主宰し、作家・生活史研究家として執筆活動をしている阿古真理さんが、2月20日、最新刊 『お金、衣食住、防犯が全てわかる 今さら聞けない ひとり暮らしの超基本』を刊行した。本のなかで阿古さんは、この本を執筆することで一番知りたかったのは「家事をしない部屋で暮らせば、人は死ぬのかどうか」ということだったと書いている。
世の中には「ゴミ屋敷」という言葉があり、汚部屋、つまり「家事をしない部屋」は恐らく、日本はもちろん世界中にあふれている。でも、その部屋の住人が家事をしなかった結果として死亡したという話はあまり聞いたことがない。阿古さんの中に「家事をしない部屋で暮らせば、人は死ぬのかどうか」という疑問が生まれたのはなぜなのだろうか。そして、答えは見つかったのだろうか。
『ひとり暮らしの超基本』から、一部を引用したい。
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私がひとり暮らしをしていたのは、1995年から4年半。阪神・淡路大震災で被災したことをきっかけに、実家を出ました。それまで私がやっていた家事は、自分の部屋に掃除機をかける、たまに洗濯物を取り込む、高校時代に週に2~3度、母親が仕事でいないときに夕食を準備したぐらいで、具体的な技術についての知識はかなりいいかげんだったと思います。
家事の担い手にはなりましたが、洗濯は全自動洗濯機に衣類を突っ込んで回すだけ、キッチンや水回りのお手入れの方法も適当。恥ずかしながら、あまり積極的に技術を学ぼうとはしてきませんでした。 しかし、社会が変わり、使う道具も価値観も変わり、技術も進化したのに前の世代の知恵を踏襲しているだけでいいのか、ともうっすら感じていました。
ここ数年、家事について書く、話す機会が増えてきて、技術についても正確な知識が欲しいな、と思っていたところに『ひとり暮らしの超基本』という本を書くことになって、張り切って各分野の専門家の方々に取材しました。