そして、トランプ現象が始まったときも、私はトランプ自身でも、共和党でもなく、「覚醒した民主党」が新たな原動力のようなものを生み出すのではないかという期待を持っていました。真の民主主義、自由民主主義など、私たちがかつて愛した古いアメリカ国家に非常によく似た、新しいアメリカ国家への新たな原動力を生み出すのでないかと……。

 しかし、それから20年経った今、私が『帝国以後』と同様の調査、つまり貿易赤字、アメリカの政治システムの内部機能、ワシントンの支配エリートのメンタリティについての調査を加えてみると、「もう過去の状態には戻らない」ことは明らかです。

 アメリカで観察されているようなこの歴史的大変革は、私が言うところの「元に戻せない」ものです。歴史が続く限り、後戻りはできません。

 私たちが何に対処しなければならないのか、正確にはわかりません。しかし、「以前のような民主主義に戻れるかもしれない」「戻せるかもしれない」という考えは、妄想です。

 つまり、私たちは、新しいことに備えなければなりません。戦争とは関係なく、私たちはもっと悪い事態に備える必要があるでしょう。

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